魔法学校たんぽぽ教室で、魔女よねごんは暮らしています。可愛い1年生との日々をみなさんにおわけします。


by yonegon_gon

猫のミニケル

前任校は、変な先生のいっぱいいる学校だった。
「変」という言い方は語弊があるかな。
「個性的」と言い直しておこう。

アマチュアではトップクラスのマラソンランナーの先生
半分プロのブルースバンドでドラムをたたいてる先生
極真空手の黒帯の先生は、なぜか教室でピラニアを飼っていた。
宝塚で充分、男役ができそうな美人でちょーかっこいい先生は、
ママさんソフトボールの選手で、数々の試合に出場していた。
おっきな熊さんみたいな体型の先生(男性)は、
お菓子作りでは右に出る者がいないほどの腕前で、
先生たちの誕生日に必ずケーキを焼いてきてくれた。

先生一筋、教材研究に命かけてる真面目な先生も、もちろんいいんだけど、
仕事を離れた時、自分が生き生きできるものがある先生は、面白い。

さて、ミニケルは、この面白い先生たちの一人がクラスで飼っている猫だった。
捨て猫が5年生の教室に迷い込み、いついてしまったのだ。
担任の先生は、共働きで家に置いておけない。
子どもたちも、なかなか猫を飼ってくれそうな家はない。
ということで、ミニケルは昼間は学校、夜は先生の家で暮らすことになった。
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その頃、私は1年生の担任で、教室のローカのゲージに教材のウサギを飼っていた。
ミニケルの名前は覚えているのに、ウサギの名前は忘れてしまった^^;

1年生の教室は新館、5年生の教室は旧館、
間に渡りローカがあったり、専科の棟が建っていたりで、かなり離れている。
なのにミニケルは、毎日足繁く1年生の教室にやってきた。
それも授業中。

最初は、「あ、ミニケルだ!」とうれしそうに叫んでいた1年生。
でも、そのうち、なぜミニケルがわざわざ1年生の教室にやってくるのか
何となく不安になったらしい。

「ねぇ、よねごん。ミニケル、毎日来るね。」
「うむ、そうですね。」
「どうしてくるんだろ。」
「さあ、1年生が好きなんでしょう。」
「そうかなあ。」
「そうかなあ。」

ほんとに、そうかなあだった。
実はミニケルは、ゲージの中のウサギをねらっていた。
ねらっていると言っても、何かするわけではない。
うさんくさいヤツがいると、偵察に来ているような感じ。

毎日、1年生のローカにやってきては、ウサギが入っているゲージにそろそろと近づく。
「ミニケル!」と呼ぶ子どもたちの声で、さっと逃げる。

とうとう、みんなの前でしんやが言った。
「ねえ、よねごん。ミニケル、うさぎ見に来てるんじゃない?」
「そのようですな。」
「どうして、ミニケルはうさぎを見に来るの?」
「好きなんでしょ。」
「ほんとに?」
「・・・たぶん。」
「ほんとにほんと?」

しんやも他のみなさんも、とても疑り深い顔でわたしを見つめた。

「ええっと、仕方がない。では本当のことを言いましょう。
実は・・・・・・実は、ミニケルはほんとはウサギだったんです。」
「えええ!」「うそお!」
「いえ、嘘ではありません。」
「でも、ミニケルの耳、長くないよ。」
「そうです、そこです。ミニケルはとおい昔、長い耳でした。
でも、お昼寝してたら、ねずみにかじられてしまったんです。」
「それって、ドラえもんじゃん。」
「たぶん、ミニケルはドラえもんのはとこです。」
「は・・はと?」
「いえ、はとじゃなくて、はとこ。まあ、親戚です。」
「ふううん。」

私の演技がうまかったのか、「はとこ」がきいたのか、
子どもたちは信じてしまったようだ。

なぜなら、数日後、5年生の先生が私にこう言った。

「あのさ、1年生の子たち、俺にミニケルはうさぎだったんだねって
言うんだけど・・・どういうこと?」
「あ・・ああ。はっはっは。で、なんて答えた?」
「もちろん、そうだって言ったけどさ。」

とっぴんぱらりんぷー
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by yonegon_gon | 2005-12-29 21:13 | 魔法学校