魔法学校たんぽぽ教室で、魔女よねごんは暮らしています。可愛い1年生との日々をみなさんにおわけします。


by yonegon_gon

思い出

今まで出会った子どもたちは、数え切れないが、
その中でも、とりわけ印象に残る子どもたちがいる。

まだ、先生を初めて間もない頃、担任したクラスに、
こうちゃんという一人の男の子がいた。
4年生だったか。

今は、もう誰かのパパになってるかもしれない。

彼が、じっと立っているだけで、
そこにはサバンナが見えた。

浅黒い肌の彼は、無口で優しかった。
運動場の片隅にある木に登っては、
いつも遠くを眺めていた。

こうちゃんはどこ?と子どもたちに聞くと、
必ずといっていいほど、「木の上だよ。」と答えが返ってきた。

無駄な脂肪が一つもないような身体、
すらりと伸びた手足。
そして、大きな目。

にこっと笑うと、白い歯がこぼれる。

教室で子どもたちに、シロナガスクジラの説明をしたときのことだった。

「シロナガスクジラは、大きいのであれば、
この教室に入らないくらいのものもいるのです。
重さは、象20頭分くらいもあるんですって。」


授業中、ほとんど自分からは発言しないこうちゃんが、
目をきらきらさせながら手をあげた。

「それって、食えるの?」

ちょっと躊躇してから、私は答えた。
「・・・・・・はい。食えます。」

私はそのとき、一瞬だったが、
太平洋の大海原をうねるように泳ぐ、山のように大きなシロナガスクジラに
凛とした姿でのっかっているこうちゃんが見えたのだ。

こうちゃん、どうしてるかな。

よねごんは今でも
どこかの木の上で遠くを眺めている
こうちゃんがいるような気がするよ。


a0042798_22354434.gif

[PR]
by yonegon_gon | 2006-03-29 22:56 | 魔法学校