魔法学校たんぽぽ教室で、魔女よねごんは暮らしています。可愛い1年生との日々をみなさんにおわけします。


by yonegon_gon

トマトといふもの

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好き嫌いは誰にでもあるものだが、
それが許されないのが給食である。

先生だって、嫌いな物があるんだけど、
そこは、うまくごまかしてるようだ。

よねごんの苦手は、イクラとらっきょなんだけど、
まあ、給食にこれらが出ることは無いので、ラッキー。

昔から、野菜全般が苦手な子ってけっこういる。
その中でも、プチトマトは頻繁に給食に出るのに、
苦手な子がクラスに必ずいる。

先日、そのプチトマトが出た。
一人、二個なんだけど、苦手な子は一個に減らしてもらう。
あきらくんは、このトマトが大嫌い。
いつも、口の中に入れて、片方のほっぺをトマトでぷっくらふくらませたまま、
長い長い間、がんばっている。

「ぱくっと食べて、がーっとご飯を食べると大丈夫」
「ごくっと飲んで、牛乳をぐぐっと飲めばいけるよ」

みんな、適当なことを言って励ますんだけど、
苦手な子にとってはそう簡単じゃない。

すったもんだしている時、よねごんの前で食べていたともくんが
「あ・・トマト落ちてる。」と言った。
ともくんの机の横の床に、ころりと一つ、プチトマトが転がっていた。

「あらら、誰か落としたんだね。
おーい、プチトマト転がってるよ~落としたのだれえ?」

よねごんがみんなに聞いたけれど、誰からも返事が返ってこない。

「あらら、持ち主が現れませんねえ。」

すると、将来名探偵コナンになる予定のこういちくんがやってきた。
名探偵こうちゃんは、落ちているプチトマトには触れずに現場検証をする。
彼は、白い手袋と虫眼鏡こそ持っていなかったが、大変熱心に観察した。
しかし、よねごんにはどう見ても、
ただ、床にプチトマトが転がっているようにしか見えなかった。

おもむろにこうちゃんが言った。
「ともくんが見つけたとき、トマトはどんな感じでしたか?」
ともくんが言った。
「ここにあった。」
「どっちから転がってきたか、見ませんでしたか?」
「見たときは、もうここにあった。」
「うむ・・・・。おかしい。」
腕を組んで難しい顔で、転がっているプチトマトを見つめる名探偵こうちゃん。

ばくばく給食を食べながら、よねごんがよけいなことを言った。
「一言申し上げますが、事件が起こった場合、
やはり一番に疑うのは、誰だと思いますか?名探偵」
こうちゃんが、にらんでいたプチトマトから目をあげてよねごんを見た。

「第一発見者です。」
「そうです。」
こうちゃんとよねごんは、なにげに給食を食べているともくんをじっと見つめた。
ともくんはその言葉で、
給食をのどにつまらせそうになりながら、あわてて言った。
「ち、違うよ。ぼく、ちゃんと食べたよ。ほんとほんと。」

ぶんぶん首をふるともくんが少し気の毒だったので、よねごんが言った。
「まあ、ともくんのお皿にはプチトマトのへたがちゃんと残されてますし、
ともくんはプチトマトが大好きですから、犯人ではないでしょうね。」

しかし、名探偵こうちゃんが言った。
「でも、この転がっているプチトマトにもへたがない・・・。」
「だ、だから違うって。ぼく、トマト大好きだもん。」
ともくんは、必死になって言った。

「どちらから転がってきたかは、見なかったのですね?」
こうちゃんが腕組みしたまま、ともくんに念を押した。
「だから、見たときには、ここにあったの。」
「うーん、謎だ・・・・。」
こうちゃんはさらに難しい顔で腕を組み直しプチトマトを見つめた。

結局、持ち主は現れず、
ぼく食べていい?とともくんが、そのプチトマトをひろって、
さっさと手洗い場できれいにあらって、ぱくっと食べちゃって、
事件は迷宮入り、トマトはともくんのお腹入りになりました。

トマトを口に入れたまま、がんばっていたあきらくんは、
意を決して牛乳ごと丸飲みしたようです。

たかがトマト、されどトマト。
いいだんけどね、嫌いな物もあって。
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by yonegon_gon | 2006-06-18 08:06 | 魔法学校